日本作物学会紀事
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リブロース-1.5-ビスリン酸カルボキシラーゼ活性の分光光度法を用いた測定法の改良
杜 玉春野瀬 昭博川満 芳信村山 盛一和佐野 喜久夫内田 泰
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1996 年 65 巻 4 号 p. 714-721

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抄録

リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)活性の分光光度測定法はRubisco活性測定法において重要な方法である. しかし, リボース-5-リン酸から合成したリブロース-1,5-ビスリン酸を基質として用い, 分光光度測定法でRubiscoの活性を測定する時, NADHの酸化が始まるまでに数分間の遅延時間(Lag time)が生じる. 本研究では, 先ず遅延時間の程度が反応液中の3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK). グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAP-DH), ホスホクレチアチンキナーゼ(PCK)の濃度に密接に関係することを示した. PGKとGAP-DHの濃度を増やすと, 遅延時間は短くなったが, 完全になくすことができなかった. しかし, PCKの濃度を増すと, 遅延時間は完全になくなった. つまり遅延時間をなくすためには反応液中のPGKとGAP-DHの濃度ではなく, PCKの濃度を増加することが最も重要であることが分かった. 分光光度測定法で遅延時間が生じる原因については, 反応液中のADPの蓄積が関係していることが明らかになった. 以上のようなことを参考にした抽出・反応系を用いて, サトウキビの葉においてRubiscoの高いinitialとtotal活性を得ることができた.

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