日本作物学会紀事
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異なる草型の水稲品種の多収性機構の解析 : 第1報 生育特性, 収量構成要素および乾物生産特性の比較
王 英典黒田 栄喜平野 貢村田 孝雄
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1997 年 66 巻 2 号 p. 293-299

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抄録
東北地方を対象に, 最近育成された多収性水稲品種・系統の生育および乾物生産特性と収量および収量構成要素について, 1994年および1995年の両年にわたって, 当地方の主要な普及品種であるひとめぼれおよびキヨニシキを対照として比較・検討した. 供試した各品種・系統の収量は, 650~815gm-2の範囲にあり, ふくひびき > 奥羽316号, キヨニシキ > 奥羽327号 > ひとめほれの順に多収であった. 短稈穂重型のふくひびきと奥羽316号は, 1穂籾数が多いことによリm2当たり籾数が多かった. 最も収量が多かったふくひびきは, 千粒重が大きい割には登熟歩合が高い傾向があった. 登熟歩合の程度は, 2次枝梗着生籾の登熟歩合と密接な関係が認められたが, ふくひびきは, 2次枝梗着生籾が多いにもかかわらず, それらの登熟歩合がかなり高かった. 大粒型の奥羽327号は, 穂数が少なく, m2当たり籾数も少なかったが, 千粒重が非常に大きく, 登熟歩合も高かった. ひとめほれに比べて, 草丈の低いふくひびきと奥羽316号は, 収穫期における全乾物重がわずかに大きかったが, それらの穂重は明らかに大きかった. この関係から, 両者の収穫指数は, ひとめげれよりかなり高くなった. 以上の結果, ふくひびきと奥羽316号は, 乾物生産および分配において優れた性質を備えていることが推察された.
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