日本作物学会紀事
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水稲における出穂期の影響を補正したアミロース含有率を指標とした良食味品種の選抜
大里 久美浜地 勇次川村 富輝今林 惣一郎
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1998 年 67 巻 1 号 p. 36-40

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抄録
米の食味はアミロース含有率と相関がある.しかし, アミロース含有率は出穂期と相関が高いため, アミロースの低い品種を選抜することは早生に偏る危険性がある.そこで, 出穂期に対する精米のアミロース含有率の一次回帰式を計算し, 得られた回帰からの偏差に全測定値の平均値を加えた値を補正アミロース含有率とした.気象条件の異なった3年間ともに補正アミロース含有率と食味との相関係数は有意であり(r=-0.535&lt:**&gtl:, -0.439&lt:**&gtl:, -0.589&lt:**&gtl:), 補正アミロース含有率の低い品種は良食味となる傾向にあった.補正アミロース含有率と翌年の食味との相関係数は3年間とも有意であり(-0.470*, -0.417&lt:**&gtl:, -0.479&lt:**&gtl:), 補正アミロース含有率の低い品種ほど翌年の食味が優れる傾向であった.このように, 補正アミロース含有率は良食味品種を選抜する際の有効な指標であった.したがって, この値を指標とすれば早生に偏ることなく, 良食味品種の選抜が可能であると考えられる.また, 搗精を省略した玄米の補正アミロース含有率でも精米と同様に食味との相関が認められ, 良食味品種を選抜するための有効な指標となることが明らかになった.
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