抄録
イネ科17種19作物とマメ科11種作物を供試し, 人工的に圧縮して作成した硬い土層への種子根・主根の貫入率および貫通率を調査し, その作物種間差について検討した.2.54mmの網目の篩を通し, 水分含量13%に調整した砂壌土を用い, 油圧ポンプで加圧して厚さ1cmの圧縮土層を作成した.圧縮土層の硬度は, 山中式土壌硬度計による絶対硬度表示で11~87kgcm<:-3>l:であった.トウモロコシ(Zea mays L.)を除く27種29作物の種子根・主根は11kgcm<:-3>l:より硬い土層に貫入したが, 貫入が認められた土層の硬度の最高値は作物によって異なり, イネ科では六条オオムギ(Hordeum vulgare L.)の73kgcm<:-3>l:, マメ科ではモスビーン(Phaseolus aconitifolius Jacq.)の59kgcm<:-3>l:が最も高かった.供試個体中の81%以上の個体の種子根・主根が11kgcm<:-3>l:の土層を貫通したのは, イネ科では7作物, マメ科では4作物であった.なお, トウモロコシを除いたイネ科作物間には, 種子根根径が大きい作物ほど貫通力が大きく, 逆にシロクローバー(Trifolium repens L.)を除いたマメ科作物間には, 主根根径が小さい作物ほど貫通力が大きい傾向がみられた.