日本作物学会紀事
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圧縮土層への種子根・主根の貫入および貫通の作物種間差について
田中丸 重美林田 慎一望月 俊宏古屋 忠彦
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1998 年 67 巻 1 号 p. 63-69

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抄録
イネ科17種19作物とマメ科11種作物を供試し, 人工的に圧縮して作成した硬い土層への種子根・主根の貫入率および貫通率を調査し, その作物種間差について検討した.2.54mmの網目の篩を通し, 水分含量13%に調整した砂壌土を用い, 油圧ポンプで加圧して厚さ1cmの圧縮土層を作成した.圧縮土層の硬度は, 山中式土壌硬度計による絶対硬度表示で11~87kgcm&lt:-3&gtl:であった.トウモロコシ(Zea mays L.)を除く27種29作物の種子根・主根は11kgcm&lt:-3&gtl:より硬い土層に貫入したが, 貫入が認められた土層の硬度の最高値は作物によって異なり, イネ科では六条オオムギ(Hordeum vulgare L.)の73kgcm&lt:-3&gtl:, マメ科ではモスビーン(Phaseolus aconitifolius Jacq.)の59kgcm&lt:-3&gtl:が最も高かった.供試個体中の81%以上の個体の種子根・主根が11kgcm&lt:-3&gtl:の土層を貫通したのは, イネ科では7作物, マメ科では4作物であった.なお, トウモロコシを除いたイネ科作物間には, 種子根根径が大きい作物ほど貫通力が大きく, 逆にシロクローバー(Trifolium repens L.)を除いたマメ科作物間には, 主根根径が小さい作物ほど貫通力が大きい傾向がみられた.
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