日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
香川県における水稲品種キヌヒカリの移植時期に関する研究 : 活着期, 出穂期および成熟期と気温との関係
上田 一好楠谷 彰人浅沼 興一郎一井 眞比古
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 67 巻 2 号 p. 136-142

詳細
抄録
香川県における水稲の移植時期が生育に及ぼす影響を明らかにするために, 1992年から1995年にかけてキヌヒカリを3~4回の異なる時期に移植し, 初発分げつ迄日数, 出穂迄日数および登熟日数と気温との関係を検討した.初発分げつ迄日数(Y1)と移植後5日間の平均気温(X1)との間に次の式が成立した.Y1=197.35×e&lt:-0.170&gtl:X1(1)本式より, 移植後5日間の平均気温が16~17℃以下になると初発分げつ迄日数は急激に延長し, 12日以上を要するようになると予測された.この温度を香川県の平年値にあてはめると, 5月2半旬であった.出穂迄日数(Y2)と移植後30日間の平均気温(X2)および初発分げつ迄日数(X3)との間には次の式が成立した.Y2=-2.56X2+0.76X3+118.86(2)登熟日数(Y3)と出穂期後30日間の平均気温(X4)との間には次の式が成立した.Y3=-2.1X4+89.2(3)以上より, 香川県における安全移植時期は5月2半旬と推察された.また, 出穂期や成熟期はこれらの式[(2), (3)]を用いることにより, 簡単に予測できると考えられた.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top