日本作物学会紀事
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クロタラリア属植物の窒素固定量の評価とそのすき込みが後作コムギの窒素吸収に及ぼす影響
大段 秀記大門 弘幸
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1998 年 67 巻 2 号 p. 193-199

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抄録
マメ科緑肥作物として導入が試みられているCrotalaria junceaとC.pallidaの2種を供試して, 重窒素希釈法と差引法によって窒素固定量を試算し, さらに両種の地上部のすき込みならびに残存した地下部が後作コムギの窒素吸収に及ぼす影響を, 窒素分の少ない土壌を充填した1/5, 000aワグナーポットを用いた試験によって検討した.C.junceaの地上部の乾物重と全窒素含有量は, 播種後40日目には窒素無施用区(N-0区)と0.3gN/ポット施用区(N-3区)間で差異は認められなかったが, 播種後100日目ではN-3区で高かった.一方, C.pallidaでは, 播種後100日目では, 両区間に差異は認められず, 両種間における施肥窒素に対する反応性の違いが示された.全窒素含有量に占める固定窒素の割合は, 播種後100日目において, 両種ともに窒素施肥の有無に関わらず約90%と高く, 固定窒素への依存率が高いことが示された.両種の地上部をすき込んで生育させた後作コムギの窒素吸収量は, 窒素無施用区では, すき込みを行わなかった対照区よりも有意に高く, 両種間で比較するとC.pallida区がC.juncea区よりも高く, すき込み試料の特性の差異が示された.1.5gN/ポット施用区では, すき込み区と対照区との間に明確な差異は認められなかった.一方, 両種の地上部を刈り取り, 地下部のみが残存した土壌で栽培したコムギは, トウモロコシの地下部残存区に比べて高い窒素吸収量を示し, 両種間では地上部の生育が旺盛であったC.juncea区が明らかに優った.
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