日本作物学会紀事
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ヤブマメ(Amphicarpaea edgeworthii Benth.)の開花・結実習性の地理的変異
荒瀬 輝夫井上 直人
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1998 年 67 巻 3 号 p. 384-391

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抄録

地下結実性を有する食用資源マメ科草本であるヤブマメを本邦各地から収集, 栽培して, その開花・結実習性の地理的変異について調べた.高緯度系統ほど開花まで日数は短かった.開花期間は高緯度地方産の系統で長く, 系統間の変異も大きかった.開花まで日数と開花期間長との間には高い負の相関が見られた.地上種子の千粒重は全系統平均22g, 地下種子では143gであり, 地上種子は種皮を傷つけると高い発芽率が得られたことから硬実であるのに対し, 地下種子は何ら処理を行わなくても高い発芽率であった.生育地の緯度と千粒重との関係は認められなかった.地下閉鎖果は高い確率で1莢当たり2粒となり, 千粒重が増大するとその出現率は上昇した.種子数および種子重で見た場合の地下種子の占める割合は, 生育地の緯度との相関が低く, その系統間のばらつきは低緯度系統ほど大きかった.

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