ヤブマメの種子生産と生育地のミクロな環境との関係を調べるため, ミクロな環境を間接的に表すものとして植生と葉の外部形態(葉色, 葉面積, 毛茸の量, および葉枕の色)を取り上げた.葉の形態は変種分類の基準であるので, おわせて分類と種子生産との関連を調査した.生活型組成をもとに, 生育地のスタンドを序列化して分析し, 休眠型の組成からスタンドの遷移度(DS)を求めた.ヤブマメの生育地はDS=5~10というやや強度の撹乱状態に集中していた.生育型組成をもとに, スタンドのロゼット率を求めると, 0.15~0.30のスタンド多かった.ロゼット率と, 地上, 地下種子の千粒重との間には有意な負の相関が認められた.葉の色と形態と植生や種子生産との関連はほとんどなかった.葉の裏側は灰緑色で.毛茸の量が少なく, 葉枕が黒紫色の系統の地理的な偏在が認められ, これはウスバヤブマメの分布域に類似していた.したがって, 葉の形質は変種分類の基準となることが確かめられたが, 種子生産との関連が認められなかったので, 地下結実性の差異が2変種の特性である可能性は低いと考えられた.