抄録
北部九州におけるキマメの栽培についての知見を得る目的で, ICRISATから分譲を受けた極早生とされる8系統を, 1993年および1996年に播種期を変えて栽培し, 生長および開花・結莢諸特性について調査を行った. 1993年の結果では, すべての系統は出芽後順調に生長し開花・結莢したが, 播種から開花まで日数および開花・結莢の状態によって, 有限伸育型(6系統)と無限伸育型(2系統)に類別された. 有限伸育型系統は日長感応性が弱く, 播種期の早晩による栄養生長量および開花まで日数の変動が小さかったが, 無限伸育型系統は日長感応性が強く, 播種期が早いほど栄養生長量が大きく, 開花まで日数が長かった. 更に, 1996年では子実生産を目的に日長感応性が弱い有限伸育型3系統を栽培した結果, 早播きほど莢の成熟が不斉一のため, 収穫は長期間を要したが, 6月下旬頃までの播種においては収量の違いは小さかった. 以上のことから, 北部九州において子実生産を目的としたキマメの栽培を行う場合は, 有限伸育型系統を6月中旬から下旬の間に播種することが望ましいと考えられた.