日本作物学会紀事
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イネの1穂穎花数を規定する穂の分枝構造に関する発育形態学的解析
福嶌 陽
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1999 年 68 巻 1 号 p. 71-76

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抄録
日本型イネ8品種とインド型イネ8品種を用いて, 穂の分枝構造を退化痕跡から推定した退化した穎花および分枝を含めて再現し, 品種間で比較した. いずれの品種においても穂軸に沿った各1次分枝上の2次分技数, および3次分枝数は, 穂軸の基部から中央部においてはほぼ一定であり, 頂端部に向かってやや減少した. 分枝の次元に着目して穂の分枝構造をみたところ, 日本型品種よりインド型品種は高次の分枝数の割合が大きかった. ただし, 日本型品種でもIR65598-112-2だけは, 高次の分枝数の割合, 特に(3次分枝数/2次分枝数)が著しく多かった. また, 日本型品種よりインド型品種は穂首節間の大維管束数を1次分枝数で割った値は大きいが, 穂首節間の直径に対する1次分枝数は少なかった. これらのことから, 穂の分枝構造は品種群間で異なっており, これは分枝の分化・発育の様式の差異によって生じることが示唆された. さらに, このような穂の分枝構造の差異と1穂穎花数との関係を検討したところ, 1穂穎花数の品種群内の差異は1次分枝数によって, また品種群間の差異は高次の分枝数の割合によって規定されていると考えられた.
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