日本作物学会紀事
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アイガモ栽培における水稲の収穫期の違いが米の外観品質および食味に及ぼす影響
浅野 紘臣磯部 勝孝坪木 良雄
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1999 年 68 巻 3 号 p. 375-378

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抄録
アイガモ栽培 (有機栽培) における米の食味の向上を目的として, 水稲の収穫時期の違いが米の品質, タンパク質含有量及び食味に与える影響について調査した. 米の産地や栽培方法の違いに関係なく, 青米は収穫時期が遅くなるに従って減少した. アイガモ栽培1年目のキヌヒカリのタンパク質含有量は7.4±0.1%, アイガモ栽培5年目 (有機栽培7年目) のコシヒカリは8.2±0.4%であった. 収穫時期を成熟期より10日遅くすることによるタンパク質の含有量は, コシヒカリのアイガモ栽培米では最大0.7%減少した. 収穫時期を変えても収量構成要素の変化は少なかった. また, 収穫時期を遅らせることにより僅かながら収量は高くなった. 青米とタンパク質含有量の相関関係は高く, 青米が減少するとタンパク質含有量が減少するという関係が認められた. 食味官能試験の総合評価は, 栽培方法・産地に関係なく遅刈り, 成熟期刈り, 早刈りの順で評価が高く, 特にアイガモ農法5年目 (有機農法7年目) で栽培された米はその傾向が顕著であった. これらのことから, 収穫時期を通常より10日間程度遅らせることで青米の減少, 収量の増加とともに, 玄米中のタンパク質含有量が減少することにより米の食味は向上する可能性が示唆された.
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