日本作物学会紀事
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陸稲の干害に及ぼす不耕起栽培の影響
辻 博之山本 泰由松尾 和之臼木 一英
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キーワード: 干害, 不耕起栽培, 陸稲
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2000 年 69 巻 1 号 p. 20-23

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抄録

陸稲の干害に及ぼす不耕起栽培の影響を検討した.1988, 90, 92年に不耕起とロータリ耕を行った畑地に陸稲(品種:トヨハタモチ)を栽培した.1990, 92年は出穂前1カ月間の降雨が少なく干害が発生し, ロータリ耕区では多雨年であった1988年の約30%, 54%の精籾重となった.一方, 不耕起区はロータリ耕区に比べて干害の程度が軽微であり, 多雨年の60%程度の精籾収量が得られ, 陸稲の干害軽減効果が認められた.不耕起区ではロータリ耕区に比べて出穂が早まり, 表層土壌の乾燥が始まる時期に深さ10cmの土壌水分ポテンシャルの緩やかな低下と, 陸稲の気孔抵抗の日変化が小さいという現象が認められた.また, 1992年の不耕起区は出穂期の地上部生育と根長密度がロータリ耕区に比べて大きかった.これらの結果から, 不耕起栽培による干害の軽減効果は土壌の乾燥が遅れることと, 出穂が早まることによって乾燥ストレスにさらされた期間が短縮されるためと推察された.

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