日本作物学会紀事
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パイプモデルから見たダイズ根系の生育特性
有馬 進原田 二郎浅沼 修一三原 実
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2000 年 69 巻 1 号 p. 95-101

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抄録

ダイズにおける根系の生育特性と根粒分布様式をパイプモデルに基づいて解析した.すなわち, 窒素施肥量, 土壌硬度, 土壌生物性, 光などの栽培条件の変更や根粒着生変異体を用いて根系の生育量を変動させ, 開花結莢期に根径階級別の根量分布と根粒着生状態を観察した.その結果, パイプモデルに適合した根径約1mm以上の太根部と適合していない約1mm未満の細根部の量的役割は, 諸条件に伴って根系の生育量が変化しても, ほぼ一定に保たれる傾向を示した.根粒は微細根において形成が始まり, 根径1mm以下の細根に全根粒数の約95%が着生した.また, 根径階級別根粒数は根径階級別根量と高い相関関係を示した.粒径3mm以上に成長した大粒の根粒が全ての根径階級にほぼ均等に着生したことから, 窒素固定活性の高い根粒の分布は, 基本的に根径階級別の維管束量と密接な関係にあることが示唆された.

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