日本作物学会紀事
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バレイショの実生世代における根長の表現型変異の環境条件に対する安定性
柏木 純一岩間 和人長谷川 利拡
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2000 年 69 巻 3 号 p. 332-336

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抄録

バレイショ根系の遺伝的改良についての基礎的知見を得るために, 実生(真正種子の発芽個体)の世代における根長の表現型変異に対する栽培環境の影響を検討した.供試材料には農林1号(根長大)とコナフブキ(根長小)の交配から得た分離集団を用い, 1995年には日長や日射量の異なる3時期(夏期, 秋期, 冬期)に標準の潅水条件下で, また1996年の夏期には異なる土壌水分条件下(乾燥区, 標準潅水区, 湿潤区)で, 実生をガラス温室内のポットで栽培して, 6葉期に根長を測定した.各処理区での平均根長は, 冬期に比べ夏期の方が, また乾燥区や湿潤区に比べて標準潅水区の方がそれぞれ大きかった.しかし, 根長の表現型変異の形はいずれの処理においても類似した結果であった.すなわち, 根長小の側に分布が偏在し, 根長小の大きな山と根長大の小さな山を持つ2頂型を示した.これらのことより, 本研究で用いた交配分離集団では, 実生世代での根長の選抜を栽培環境に影響されることなく行うことができると考えた.

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