日本作物学会紀事
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多収性水稲の品種生態に関する研究 : 出液速度の品種間差異
楠谷 彰人崔 晶豊田 正範浅沼 興一郎
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2000 年 69 巻 3 号 p. 337-344

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抄録

従来の日本品種10(日本品種群)およびアジア各国で育成された多収品種10(多収品種群)を供試し, 出液速度の品種間差を調査するとともに, 収量関連形質との関係を検討した.出穂期における出液速度(BR1)および成熟期における出液速度(BR2)は, それぞれ2.20(g時-1株-1)~3.92, 1.50~2.62の範囲にあった.BR1およびBR2に有意な品種群間差は認められなかったが, 1-BR2/BR1によって求めた登熟期間中の出液速度減少率は, 多収品種の方が日本品種よりも有意に高かった.BR1と総ファイトマー数(TPN)との間に有意な相関関係は認められなかったが, BR1とBR1/TPNとは有意な正の相関を示した.BR1と出穂期における茎葉乾物重(SDW)/TPNとの間にも有意な正の相関関係が存在した.登熟期間中の出液速度減少率は, 葉色の低下と有意な正の相関を示した.さらに, 出液速度減少率と登熟歩合との間には有意な負の相関関係が認められた.これらより, 出穂期後の葉色の低下が大きく出液速度の減少率が高い品種は根の活力低下が激しく, 登熟性に劣ると考えられた.

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