日本作物学会紀事
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水稲における収穫指数の品種間差に関する研究 : 形態形質および葉色値との関係
崔 晶楠谷 彰人豊田 正範浅沼 興一郎
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2000 年 69 巻 3 号 p. 359-364

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抄録
水稲における収穫指数向上の選抜指標を検討するために, 日本品種60(日本品種群)およびアジア各国で育成された多収品種20(多収品種群)を供試し, 収穫指数(HI)と形態形質および葉色との関係を調査した.日本品種のHIは, 出穂期の葉色(葉緑素計SPAD-502型による読みとり値, SV)と正, 草丈(PL)との負の相関を示した.多収品種では, HIはSVと正の相関を示したが, HIとPLとの相関関係は有意ではなかった.HIと成熟期の稈長(CL)との間には, PLと同様の関係が認められた.日本品種のHIは穂長(EL)と負の相関を示したが, 多収品種では逆に正の相関を示した.多収品種のHIとEL/CLとの間にも正の相関関係が存在した.形態形質とHIとの関係を明らかにするために, 重回帰分析を行った.その結果, HIとSV(X1), PL(X2), EL/CL(X3)との間に有意を重相関関数が得られた.また, 標準偏回帰係数比から推定したX1, X2およびX3のHIに対する貢献割合は54:15:31であった.これらより, 出穂期の葉色, 草丈, 穂長/稈長比は高い収穫指数を持つ品種を選択していくうえでの有効な指標になると考えられた.
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