抄録
種イモ生産・供給体制の不備が丹波ヤマノイモの新規産地の拡大を阻む要因になっており, その早急な確立が強く望まれる.そこでGS1Aと新丹丸の2品種を用い, 種イモ生産のための栽培条件として種イモ重と栽植密度を検討した.試験は1997年と1998年に実施した.種イモに適するイモの重量は青果より小さい.青果栽培の条件より種イモ重を小さくするか密植とすれば, 種イモに向く小さいイモが生産できた.種イモの小型化だけでは収量が, 密値化だけでは増殖率が低下した.その問題は両者を組み合わせることで改善された.種イモ生産に最適な種イモ重と栽植密度はGS1Aが20gと10a当たり8333株, 新丹丸が10gと同16667株と考えられた.この条件でGS1Aが4分割, 新丹丸が8分割できる大きさに揃ったイモが収穫できた.収量と増殖率も青果栽培に劣らず, 効率的な種イモ生産が可能となる.