抄録
わが国の作物生産は, 耕地率が低いという地理的条件から土地生産性の向上を図った集約栽培に頼らざるを得ないと同時に, 社会的課題である環境保全問題に配慮しながら食糧自給率の向上を目指す必要がある. その生産基盤としての耕地土壌の作物生産性は, 一義的には地力がどの程度であり, いかに維持増強されているかにかかっている. その地力維持対策の基本技術は現在も存続している多くの慣行的集約栽培の中にみられる. そして今日, これらの栽培基本を踏まえた新たな応用研究のもとに, 高度技術を駆使した多様な環境保全型の地力維持法が検討されている. 本報では有機物の投入と作付体系を一体化させることの必要性に論議の焦点を当てた.