日本作物学会紀事
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石灰窒素の散布が湛水土中直播水稲の出芽に及ぼす影響(栽培)
松島 憲一脇本 賢三吉永 悟志田坂 幸平大森 博昭
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2002 年 71 巻 1 号 p. 11-16

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抄録
水稲栽培において苗を食害するスクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata (LAMARCK))防除に効果のある石灰窒素が湛水土中直播水稲の出芽に及ぼす影響をポット試験で調査した.酸素発生剤(カルパー粉粒剤16)無被覆の種子の場合,石灰窒素の散布により出芽阻害が見られたが,被覆した種子では障害は見られず,むしろ,石灰窒素の量が増えると最終出芽率が高くなる傾向にあった.また,土壌溶液中のカルシウムシアナミド濃度を測定し経時変化を調べたところ,代かき直後に比べて,4日後ではカルシウムシアナミド濃度が27%~17%まで減少した.さらに,麦稈を鋤込んだ土壌に石灰窒素を散布した場合も,無被覆種子では麦稈および石灰窒素の影響を受け,出芽が悪くなったが,被覆種子は若干の差はあるものの,概ね高い出芽を得られた.以上の結果,石灰窒素を散布した土壌において湛水直播を行う場合は酸素発生剤の被覆により薬害(出芽障害)を回避できることが判明した.
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