抄録
要旨 : 国内のビール大麦26品種を用いて,早播と遮光を組み合せた処理により側面裂皮粒の発生しやすさの評価を行った.試験は3年間行ったが,処理は播種期を11月10日前後の早播とし,寒冷紗を用いて節間伸長期~出穂期の約1ヵ月間を50%遮光した.1998年に調べた側面裂皮粒の発生率は,平均で適期播・対照区5.9%に対し早播・遮光区が31.4%と早播・遮光処理により側面裂皮粒の発生が多かった.1998年~2000年に調べた早播・遮光処理による側面裂皮粒の発生には,品種×年次で交互作用が認められ,年次によって品種間の相対的な差が異なることが明らかとなった.したがって,検定にあたっては2年以上の発生率を調査する必要があることがわかった.これは側面裂皮粒の発生が,節間伸長期~出穂期の日照時間によって影響を受けるためと考えられた.供試した材料の中できぬゆたかと九州二条16号は,側面裂皮粒の発生が3カ年とも少ないことから,側面裂皮粒耐性品種育成のための交配親や耐性品種として有望であった.