日本作物学会紀事
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西日本暖地で栽培した北海道育成コムギ品種ハルユタカの収穫指数と粒重に対するエテホンの効果
高橋 肇
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2002 年 71 巻 4 号 p. 488-492

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抄録
要旨 : 北海道育成のコムギ品種ハルユタカは,山口市で栽培すると収穫指数や粒重が低く,子実収量も低くなる.植物成長調節物質エテホンは,コムギ群落上面に散布することで稈長を短縮し,これにより生じた余剰同化産物が子実へ転流することで,収穫指数,粒重さらには子実収量を増加させることが期待される.本研究では,栽培技術によるハルユタカの収穫指数と粒重の向上を目的として,ハルユタカと九州育成品種ダイチノミノリとを2水準の栽植密度で栽培し,止葉展開期から開花期まで3日に1度10Oppmのエテホンを葉面散布処理した.その結果,エテホン処理は両品種とも稈長を有意に短縮したものの,収穫指数,子実収量や千粒重をはじめとする収量構成要素には効果がみられなかった.稈長の短縮は,稈の伸長期間ではなく,伸長速度の低下によるものであった.稈長の短縮により余剰同化産物が稈に蓄積され,稈の可溶性炭水化物含有率が高まったものの,成熟期においても高いままであった.稈の可溶性炭水化物は,十分に子実へ転流されなかった.
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