抄録
ファッション店舗においては展示方法によって,衣装から受ける印象評価は異なる.展示方法は布地の質感にも影響し,光沢布地は展示方法によっては正確な質感を認識することができない.また布地の光沢感などの質感は照明によって変化する.
本研究では,光沢,無光沢の布地(白色,赤色,青色,黄色)において,ドレープ数(平置きはドレープ無し)を変えて,白色光,赤色光,青色光の照明下でSD法による印象評価を行った.また評価サンプルがどのような材質(布,プラスチック,金属,木など)に見えるかを評価した.その主観評価結果は,なめらかさ(第1因子),重厚さ(第2因子),鮮やかさ(第3因子)で説明でき,「なめらかさ因子」は,布地の光沢,無光沢と強く関係する,「鮮やかさ因子」および「重厚さ因子」は,照明光色と強く関係する,などの結果を得た.さらに「質感」に関する主観評価は,評価サンプルの輝度変化,照明光の違い,ドレープ数の影響は小さく,布地サンプルの高輝度部分の有無だけで決定されることが明らかになった.布地であってもドレープの有無や照明光色の違いによって,金属やプラスチックなど全く異なる材質に見えることがある.