抄録
本研究では,スイレンの品種改良の目標とすべき視覚イメージとそれを最大に引き出す色彩条件を日本とタイで比較し,タイのLotus Museumへ情報提供することを目指している.これまでにSD法による印象評価実験により,視覚イメージを表す形容詞間の関係性を日タイで比較した結果,第1主成分として日タイ共通で『純粋さ』,第2主成分として日本人は『快活さ』,タイ人は『シンプルさ』が現れるなど共通点と相違点を把握するとともに,各主成分を代表する6つの形容詞「純粋な」「陽気な」「ゴージャスな」「質素な」「かわいい」「暖かい」が明らかになった.本報ではこの6つの視覚イメージが最も感じられる花弁の色彩について日本人を対象に調査し,PCCS上で色相とトーンに分けて分析した.その結果,「純粋な」は白と,「陽気な」「ゴージャスな」「かわいい」「暖かい」は暖色系の色相やlightトーンと関係性が強いことや,「質素な」は色彩が1つにまとまらず,花弁の形など色彩以外の要因が影響を与えている可能性があることが明らかになった.今後はタイ人に対して同様の調査を行い,今回の日本人の結果と比較する.