抄録
シャツ・ネクタイ・スーツを様々に組み合わせた成人男性の上半身画像を撮影し,6項目の両極尺度で印象を評定させる実験を実施した.液晶プロジェクターで呈示した画像は,シャツ4種類,ネクタイ15種類,スーツ4種類の組み合わせ,計240パターンである.
18名の18歳〜22歳の女子大学生の「好きな−嫌いな」の評定値を標準化し,クラスター分析を実施した.全体を大別する2つのクラスター毎に評定平均値を算出し,3アイテムの影響を見るために質的変数を用いた重回帰分析を実施してパラメータ推定値を算出した.その結果,全体としてはネクタイの影響が「好きな−嫌いな」の印象を規定しており,シャツの影響はカラーシャツ以外は小さく,スーツ(上着)については大きく評価を規定するグループとほとんど影響しないグループに分かれた.スーツの影響が大きいグループでは,チャコールグレー,紺のスーツが,グレー,茶のスーツより好まれた.ネクタイは,オーソドックスかカジュアルかと共に,ベースの色により評価傾向が類似する傾向が見られた.組み合わせの効果(交互作用)はピンポイントで現れており,解釈は困難であった.