色覚異常には様々なタイプや程度があると言われている.現在のところ色覚異常の強度を測定するには,専門機関に行ったり,特殊な機器が必要だったりすることから,個人の色覚異常の強度を知ることは困難である.特殊な装置を使わずに個人の色覚異常の強度を簡便に測定することができれば,色覚異常者が各々の強度を把握することができ,またその強度に適した色覚補正を提供することが可能になる.そこで本研究では新しい測定手法を提案し,ここで用いる実験手法が,色覚異常の強度測定に有効かどうかを検証する.その結果をもとに,より簡単な測定手法を提供する可能性を検証する.本研究では,多数の1 型,2 型被験者を対象に,ディスプレイを用いた色弁別実験を行った.この実験によって,混同色線上における弁別閾を測定した.その結果,アノマロスコープによる色覚異常の判定が強度であるほど弁別閾が大きい傾向が得られた.これらの結果から,誰でも簡単に色覚異常の強度を測定できる手法を提供できる可能性が示唆された.