2017 年 41 巻 6+ 号 p. 61-63
本研究の目的は,昼光の入射を想定した,高輝度な窓面が存在する室における空間の視環境評価がどのようになるのかを模型実験によって明らかにすることである.視環境の定量評価モデルは様々考案されているが昼光の影響についてまだ検討を要する段階である.被験者は左右対称な模型室(左:参照室(窓なし),右:テスト室(窓あり))を左右それぞれの眼で観察し,「窓面のまぶしさ感」「空間の好ましさ」(スケールを用いた評価)「空間の明るさ感」(マッチングによる評価)の順に回答する.「空間の明るさ感」について,テスト室床面中央照度とマッチング照度には高い相関性があったが一部減少するパターンが見られた.「窓面のまぶしさ感」については1/2サイズではUGRによる推定とおよそ同様の,1/4サイズではそれより高い評価がなされた.「空間の好ましさ」は,被験者変動が顕著なものの中央値ではまぶしさ感25未満が好ましさの必要条件となり明るさ感が高いほどより好まれた.昼光を想定する場合には,輝度比やそれに基づく明るさ順応の影響を考慮する必要があると考えられる.