日本色彩学会誌
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パンをおいしく見せる照明環境の構築
山崎 良馬横手 一希後河内 鉄石井 通友坂東 敏博
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2017 年 41 巻 6+ 号 p. 64-67

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抄録

 近頃ベーカリーショップでは電球色のLEDが広く使われている.我々は,その中でパンを見て美味しさを感じている.しかしながら,現環境がなぜパンが美味しく見えるのかは明確にはなっていない.例えばベーカリーショップの照明が変化することでパンの見えは変化する.見えの変化は購入者の購買意欲に大きな影響を及ぼすと考えられる.我々の研究として,ヒトがベーカリーショップにおいてどういった要素から美味しさを感じているのかを解明したうえで,パンにあった最適な照明環境の構築を目的とする.本研究では,異なる色温度を有する7種類のLED電球の下で,34人の被験者に対して美味しさ認識に関する被験者実験を行った.結果として,ヒトはLab表色系においてb値が高い,つまり黄色味が高いとおいしさを認識するということが分かった.このことから,電球色が最適な照明環境であると一意には言えず,照明装置によって電球色よりおいしさを認識する照明を作成できると言える.そのため今後は,本研究室にて開発した2波長から多波長の光源を作成できる照明装置を使用し,よりおいしさを認識できる照明の開発を行う.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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