日本色彩学会誌
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二色覚者の色名応答への刺激の大きさ,呈示位置,呈示時間の効果
小原 義成佐藤 雅之須長 正治
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2017 年 41 巻 6+ 号 p. 68-71

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抄録

 1型および2型二色覚者は,赤と緑の混同色に対してあたかも三色覚であるかのように色名を「適切」に使い分ける場合がある.ただし,これは刺激が大きく,呈示時間が長い場合に限られることがこれまでの研究によって明らかにされている.一方,中心窩ではS錐体が少ないこと,また,黄斑色素の影響が大きいことから,刺激が小さい場合には,呈示位置の影響を考慮する必要がある.また,局所的に三色覚領域が存在する可能性もある.そこで,本研究では,刺激の呈示位置を傍中心窩の範囲内で変化させ,この現象の詳細を明らかにすることを目的とした.2型二色覚の男性1名と三色覚の2名が参加した.刺激の大きさ,呈示位置,呈示時間を変えて,カテゴリカルカラーネーミングを行った.その結果,呈示時間が十分に長い場合,刺激サイズを小さくしても,中心窩では,桃や緑の色名が「適切」に用いられていた.これは,二色覚者が網膜の局所領域において三色覚であるという仮説を支持する結果であった.ただし,刺激サイズが小さくなるにつれ,「適切」な色名の応答が減少するため,局所的な三色覚領域のみによって「適切」な色応答が生じているわけではないことが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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