2017 年 41 巻 6+ 号 p. 76-79
近年,色覚の多様性への配慮からカラーユニバーサルデザインが浸透していた.しかし,現在の主な手法は,配色を決定するまでに試行錯誤を要するという問題点がある.そこで新たな手法として佐藤(2005),大井手ら(2016)により,まず2色覚が見ている色を使って配色をした後に,混同色線上に沿って色を変更することで3色覚向けの配色を決定するという手法が提案されている.本研究では,この新たな手法の確立に向け,2色覚が見ている色である黄青-明度平面上の色における配色に適した色カテゴリを調べることを目的とした.刺激には主波長575 nmと475 nmの黄青と明度軸からなる平面上の90色を用いた.背景色はN9.5の白であった.被験者には配色を想定しながら黄青-明度平面を配色可能な色カテゴリに分割してもらった,さらに,色カテゴリの特徴を最も示していると思う色を代表色としてカテゴリ毎に1色ずつ選んでもらった.結果より,白色背景条件では,黄青-明度平面において2色覚にとって配色に適した色数は最大7色で,それらの色カテゴリは黄,暗い黄,ごく暗い黄,灰,うすい青,青,暗い青であることが明らかになった.