栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
僻地農村児童の栄養状態に関する研究
中川 一郎高橋 徹三小林 克巳鈴木 健
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 17 巻 2 号 p. 108-110

詳細
抄録

全体的に眺めるときhaup, 基礎代謝量をのぞいてすべての値が, いわゆる正常値の下の限界あるいはこれを下回っている。しかしこれをもって籔川地区児童の栄養下回っている。しかしこれをもって籔川地区児童の栄養状態が不良であると断定はできない。なぜなら正常値の巾というものに問題があるし, 児童の側に積極的に欠乏を現わす臨床症状も観察されない。それでは潜在性の栄養不良の状態にあるのではないかの問題も起るが, これに対する解答はこれだけの調査ではむずかしい。ただいわゆる栄養必要量には不足し, またいわゆる正常値には達していないということだけはいえると思う。それが児童の身体に影響しているかどうかを知るにはもっと長い観察が必要である。
身長, 体重などの体位および, クレアチニン排泄量も都市児童のそれに比べて劣っているが, これは一般に, 都市と農村小児の間に見られる思春期的発育開始のずれによるものであり, 将来回復さるべきものであるかもしれない。これも今後の追究によらなければ解決できない。
僻地農山村小児が経済的に, 栄養的に恵まれていないことは事実であり, それがこれらの子供の栄養状態におそらく悪影響しているだろうことを確証するために調査研究を行なったが, 予期に反し著者らの行なったような研究項目に関する限りでは期待の結果は得られなかった.

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top