日本色彩学会誌
Online ISSN : 2189-552X
Print ISSN : 0389-9357
ISSN-L : 0389-9357
Supplement
商業地における街路景観色彩のまとまり度の変動 Fluctuation of Color Unity Index at Shopping Streetscapes
近藤 桂司
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 42 巻 3+ 号 p. 142-

詳細
抄録

 街路を移動しながら連続した景観画像を撮影し,その画像中の色彩の「まとまり」の度合いや時系列変動を分析した.歴史的な町並みを保全している街路の景観画像色彩の「まとまり度」の標準偏差は小さい.これは「まとまり度」が一定範囲に収まっているということであり,見方を変えれば単調なシークエンス景観とも言えよう.屋外広告物の多い街路では,その影響が濃く反映されて視点移動に伴う「まとまり度」の変動の周期性が強くなっているものと考えられる.反対に広告物の少ない街路の変動周期性は弱い.しかし,屋外広告物だけで周期性を判断することはできないことがわかった.道路境界線からのセットバックや駐車場脇の壁面が景観画像内に大きな面積を占めることがあり,屋外広告物と同様の影響を及ぼしているのではないかと推測される.また,幅員が広く,景観画像中にそれら屋外広告物や建物が占める面積が小さい場合は,当然ながらその影響は小さくなる.幅員が広くても,街路樹や工作物によって視野が狭められており,道路の反対側が見えない街路では屋外広告物や街路軸に垂直な建物壁面の影響を強く受ける.そのため幅員の狭い街路と同様に周期性が強くなる.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
前の記事 次の記事
feedback
Top