2018 年 42 巻 3+ 号 p. 138-
全国で進む景観計画の中で色彩は重要な要素の一つとして挙げられているが,2017年度の市民対象の調査では1割程度しか色彩に関する認識がなかったという報告も見られる.そんな中2013~2016年で実施された台東区景観ふれあいまつり下町塾という景観啓蒙の催しの中で開かれたワークショップで,地域それぞれ特徴のある色彩とその背景について有意義な知見を得ることができた.色彩を中心にまちの観察を行うことによって,素材やデザイン,さらにはそれに至った歴史や文化風習についてまで考察しやすくなることが確認できた.また,建築物・工作物だけでなく広告物の色彩も地域の景観にとって重要な位置を占めていることもわかってきた.簡単な色紙などを用いて,具体的な色を抽出,さらに自分たちで表現するなどツールを使って目と手を動かす方法を組み込むとわかりやすいようであった.この4回のワークショップを通して,色彩ガイドラインづくりや再開発等の際の色の提案などに役立つ「まちの色彩」を知るための手法の整理を行った.今後広く「まちの色彩」ワークショップ開催を勧めたい.