2018 年 42 巻 3+ 号 p. 144-
今,日本国内では2020年に向けて各地で建設が進められ,政府の政策としても風土に根ざした魅力あるまち並みの向上として,2020年を目途に全国都道府県の半数の市区町村で「景観計画」の作成が進められている.しかし,制度の完備が質の向上を保障するものではなく,個々の建築への意識や人々のまちづくり意識が,魅力あるまち並みにつながる.このことから,個の建築を生み出している設計者を対象に,彼らの「まち並み」に対する意識を探ることから,風土に根ざしたまちづくりの方法論を考えていく.本研究では,設計者が考える魅力的なまち並みへの要素と色彩と素材要素の関係についてアンケート調査を行った.調査対象は20歳代から60歳代の現役建築設計士とデザイナー100名.結果は,魅力的なまち並みとして「歴史伝統を感じる地域」が半数以上であった.選定した対象地の魅力要因では,外装色や仕上材のまとまりといった地域全体の調和と,自然景観と建築物の調和が理由として挙げられている.また,魅力を感じる対象として色彩と建築仕上材の関係が密接であることが明らかとなった.