日本色彩学会誌
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良好な色彩景観形成と景観計画の関係
成田 イクコ
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 147-

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抄録

 神戸市の景観計画の色彩規制が,多くの自治体で定められている規制方法と異なることから,それら背景にあるものについて調べることで,景観計画の制度設計と色彩規制方法の関係について検討した.神戸市の景観計画は,全市域を景観計画区域にせず,かつ区域のほとんどが定性的な表現で色彩規制をしている点が,他の自治体とかなり異なることを調査から明らかにした.また,神戸市の景観条例の構成が,その後の景観法の骨格となり,その立法根拠となったことが,景観条例と景観法の研究の中で指摘されている.それらから神戸市の景観行政を調査することが,良好な色彩景観形成と景観計画制度のあり方を考えることが重要と考えた.過去のアンケート結果や調査から全建物を対象に数量的な色彩規制を設けることで騒色が防げることは言い得る.しかし,景観法の目的とは,景観法自体が直接に景観を規制するわけではなく,自治体の景観に関する計画や条例,それに基づいて地域住民が締結する景観協定に,実効性・法的強制力をもたせようとすることにある.神戸市の景観計画の制度がそれにあてはまることが,今回の調査で明示できたのではないかと考える.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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