日本色彩学会誌
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色調変化により劣化したディスプレイイメージの画質評価
小坂 晏子篠田 博之
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 163-

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抄録

 ディスプレイの画像品質は使用環境の影響を受けて変化しやすく,環境光の重畳によって色調変化が起こると情報伝達に支障を来すことがある.しかし現在,色調変化を考慮した評価基準の十分な検討はされていない.均一な光がディスプレイ面に重畳する時,輝度の上昇に伴ってコントラストが反比例の関係で低下するため,ディスプレイに色光が重畳することで起こる色調変化は,提示画像の輝度とコントラストを制御することで物理的に再現できる.これを利用して,複数の基準画像にRGB各方向について輝度,コントラスト変化を施した様々な色光をシミュレーションしてディスプレイに重畳させた評価画像を作成し,両画像を比較して主観的に画質を評価する実験を繰り返し行った.この結果得られた評点は,CIEu’v’均等色度図と心理計測明度L*を組み合わせた均等色空間上で算出される∆u',∆v',∆L*の変化量に対応しており,∆u',∆v',∆L*が大きいほど評点が低下することが明らかになった.そこで∆u',∆v',∆L*を入力変数とした評点の近似曲線を導出して色調変化量から画像品質を関数的に推定し,ディスプレイ全体が均一に色調変化したときのディスプレイイメージの画質評価指標を提案する.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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