日本色彩学会誌
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光沢布地の色の見えと質感印象に対する彩度と明度の影響 
何 水蘭中島 由貴渕田 隆義
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キーワード: 布地, 質感, 色の見え, 画像
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 197-

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抄録

 ファッション店舗では様々な種類の衣服が展示されているが,照明と展示方法によっては正確な色と質感を認識することが難しい場合があり,その傾向は特に光沢を有する布地で顕著である.筆者らは先の実験で,光源の分光分布を変化させた場合,光沢布地の色彩情報(反射光の色刺激特性)が色の見えだけでなく,質感印象にも影響を与えることを明らかにした.本研究は,光沢布地画像を用いて色の見えと質感印象に対して,色彩情報がどのように影響するのかを検討したものである.実験では,色相4種類(R,Y,G,B)の光沢布地画像の(a)L*を一定,C*を4段階に変化させた画像から2つを液晶モニター上に同時に並置提示,また(b)C*を一定とした4色相の布地画像から2つを並置提示し,被験者は左画像に対して右画像の色の見え,質感印象をSD評価(9段階)した.その結果,布地画像のC*は色の見え評価だけでなく質感印象にも強く関係していることが示された.それにはHelmholz-Kohlraush効果による主観的明るさの増加も影響しているのではないかと推定した.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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