研究の目的:(1)Webから収集した画像から色彩特徴を抽出することで,多数のデータとその色彩特性を客観的な手続きにより分析する手法を確立すること,(2)飲食店の価格帯ごとの色彩特徴の分析を行い,カラーデザインへの応用に資する知見を得ること.方法:Webクローリングにより飲食店のホームページから自動的に画像を収集した.その画像から人間が知覚する代表色特徴を抽出し,飲食店のホームページで使われる色彩の典型的なパターンを解析した.さらに飲食店の価格帯をレビューサイトより取得し,飲食店の価格帯ごとに代表色特徴の分析を行った.結果:飲食店のホームページで用いられる色彩特徴は無彩色と低彩度な橙が中心であった.価格帯ごとの代表色特徴の分析では,画像に含まれる代表色の彩度の平均値と,その画像の飲食店の価格帯との間に負の相関関係が認められた.これらの傾向は飲食店全般に共通する典型的な色彩分布と,価格帯による特徴的な色彩分布を表している.このような知見をもとに飲食店として使うべき基本的な色彩や,店舗が特徴を出すための色彩を得ることができた.