2018 年 42 巻 6+ 号 p. 23-
本研究では高齢化社会に向けて高齢層に対して色刺激と文字刺激を用いて印象評価実験を行い,傾向を探った.同時に若年層と高齢層での印象の共通点や相違点の有無について調査を行った.その結果,若年層と高齢層で緑色と青色以外の色では文字刺激と色刺激が似た傾向が表れた.若年層と高齢層の色刺激と文字刺激の印象評価において,高齢層では緑色の文字刺激はデンドログラムからオレンジ色や赤色のグループにあたる暖色系に属していることが判明した.また青色の文字刺激は若年層では感覚的に「暗くさみしい色」と捉えているのに対し,高齢層では「明るくにぎやかな色」として捉えていた.
私達の生活は様々な色彩に包まれており,情報を得る手段の一つとなっている.色を知覚した際,その色に対して様々な印象や感想を持つ.それが色名による文字刺激であっても同様の印象を受けると考えられる.黒丸らが行った色刺激と色名についての印象評価実験では,若年層の被験者を対象に色刺激と文字刺激の提示を行い,受ける印象の差を調査した.その結果,緑色以外の色では色刺激と文字刺激にほとんど印象に差がないことが明らかとなっている.