絵画画像等の色彩画像の色変化の特徴を計量するために,Haar基底など完全正規直交系を用い,その展開係数をもとに絵画画像の色彩変化の特徴を計量的にとらえることを試みてきた.特に絵画画像の構図やタッチ等の様々な大きさの色変化に適応した関数系を構成し,色彩変化の特徴をより良くとらえる手法について考察を進めており,そのために任意波長を持つ完全正規直交系を構成した.これまで本提案手法とHaar基底それぞれの展開係数のパワースペクトルの収束について比較を行ってきたが,本発表では,再帰的分割した矩形領域の大きさと展開係数の関係が絵画画像の色彩的な特徴をどのように捉えているのかを実験的に観察するためにファン・ゴッホ美術館等の美術館が公開している作品画像群を対象に分析を行い,同一作家の複数画像による結果を通して,展開係数の意味付けを考察する.提案手法をファン・ゴッホ,モネ,レンブラントそれぞれの作品群に適用し,分割サイズと展開係数の変化を観察することにより,作品群の間に共通及び異なった傾向の両方が得られた.