日本色彩学会誌
Online ISSN : 2189-552X
Print ISSN : 0389-9357
ISSN-L : 0389-9357
日本色彩学会平成30年度研究会大会色彩科学系5研究会 合同研究発表会
有名画家作品の属性分布均等分割による色特徴解析 -第3 報
斎藤 了一富永 昌治堀内 隆彦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 42 巻 6+ 号 p. 52-

詳細
抄録

 本研究では著名な印象派画家の色彩表現に着目して色使いの特徴解析を行っている.研究開始当初は,画家ごとの作品全体での色分布から主成分分析による解析や,3属性で作品ごとの平均値を用いた多面判別面による解析で色使い傾向を検討した.しかし,分布全体主成分や平均値では詳細な特徴を抽出し切れないため,画家ごとの色度点分布を属性ごとに均等分割し,分割中心値と分割域幅の関係を関数表現することで詳細な色特徴の解析を考案した.分割による近似曲線を数値表現した分割近似値による解析で,各画家のより詳細な色特徴を見出すことができた.対象としたのは,同時期に活躍した印象派のマネ,セザンヌ,ゴッホ,モネ,ルノアールの5画家である.本報では,前報までに対象とした全65作品に加えて作品数を新たに14作品増やして分割近似値を解析し,各画家ともに今までと同様な色特徴が得られており,分割近似値による手法が画家特有の色特徴の解析に有用であることを報告する.また,ルノアールとモネは蒐集してある作品が各年代に亘っており,本手法による色特徴解析で前期と後期での作品を分けた場合に,色使いの変化が見られるのでその特徴を報告する.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
前の記事 次の記事
feedback
Top