日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
色彩からの連想に基づくポジティブ感情の喚起
菊谷 敬子前原 吾朗川端 康弘
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 174-

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抄録

ストレス状態から早く脱却する方法として,肯定的な感情を喚起させることが効果的であると報告されている(Fredricson et al., 2000).本研究では,2つの連想条件である外的刺激と内的刺激の相違が感情変化にどのように影響するかを調べた.(1)肯定的な感情を喚起させる単色を事前調査し,その単色を連想刺激として用いた「色観察群」と(2)「文頭の音(例えば,「あ」)」から始まる単語を連想するように指示された「連想群」である.多面的感情状態尺度という8つの感情(非活動的快や敵意等)から構成される質問紙を用い,ストレス課題後と連想課題後のタイミングで感情測定を行った.その結果,「非活動的快」では課題後と性別の交互作用が有意であり,女性の方が連想後に得点が増加した.「敵意」では課題後の感情得点の主効果が有意であり,連想後の得点が減少した.それ以外の感情尺度では,統計的に有意な差はみられなかった.つまり,肯定的な感情は,外的刺激だけでなく,自らの記憶の再生作業といった内的刺激,単なる言葉を切っ掛けとして連想することによっても色から喚起された効果と同様の効果が生起されることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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