日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
現代日本人にみられる色彩語彙の特徴:美術系大学生の事例
筒井 亜湖
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 38-

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抄録

本研究は,美術系大学生における色彩語彙の特徴と普及実態を,再生法によって確認した.18歳から25歳までの美術やデザインを専攻する日本人大学生297名に対して,色名の自由想起を求めた.平均想起色名数は33.1語(最大86語,最小5語)であり,想起色名総数は754語であった.一般成人210名を対象とした先行研究(近江,2007)における色名想起総数は300弱であったことから,美術系大学生に知られている色彩語彙は多岐にわたることがうかがわれた.色名想起率データは先行研究で確認されたのとほぼ同様の傾向を示し,基本色彩語に該当する色名が想起率の上位を占めるという結果であった.これは,我々が日常的に使用する色彩語彙が,色情報の認知的処理基盤である色カテゴリに強く規定されていることを反映している.しかし,細部には美術系大学生に特有の特徴や時代による変化なども認められた.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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