日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
平均顔を用いた髪色印象評価の性別・年代別傾向分析
中川 登紀子
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 90-

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抄録

本研究は,美容室等での髪色の提案に応用するために髪色と第一印象との関係を明らかにすることを目的とし,実験参加者の性別や年代別に髪色の印象評価結果を分析した.

日本人女性の平均顔に明度6段階,色み8段階の髪色を合成した48通りの画像を作成し,実験参加者には,これらの画像の中から合計18の評価項目に当てはまる画像をそれぞれ3つまで選んでもらった.この結果,ほとんどすべての属性で「若々しい」「元気」「かわいい」「華やか」に高明度の髪色を,「大人っぽい」「落ち着いた」「エレガント」「渋い」に低明度の髪色を選ぶ傾向があったが,色みについては属性による差が現れた.女性は髪の明度・寒暖の両方に第一印象との一貫した関係性があるのに対し,男性は明度のみに関係性が現れた.また年齢が上がるにつれ,髪色の寒暖と印象評価の関係性が強くなる傾向が観察された.男女差の要因としては形重視・色重視の違いや,色覚の違い,年代差の要因としては,ファッションカラー経験の有無や,ヘアメイクアップの経験年数が印象評価形成に影響を及ぼしていることなどが考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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