2020 年 44 巻 3+ 号 p. 118-
カラーコーディネートにおいて色彩調和は非常に重要であるが,色彩調和には多くの理論があり,用いられている表色系の色相の等差性に問題があるものも多い.そこで本報では,色相角を均等にした試料を作成し,2色配色として色相の調和について視覚評価を行った.さらにその結果を基に色彩調和論構築のためにディープラーニングの適用を試みた.
研究はL*a*b*色空間において色相を20分割した試料を用いて配色実験を行った.試料はプリントした色票を分光色彩計にて測色し,各色票間の色相角を均等になるように調色し,高彩度域20色,高明度域20色を作成した.実験は,それらを2色配色し,高彩度域400試料,高明度域400試料をN6の背景に提示し,200名の被験者から6段階の調和度データを回収した.得られた計160,000データを基にディープラーニングを試みた.
その結果,調和領域においては高彩度も高明度も同一色相が最も調和し,色相が離れるほど評価は下がり,最も遠いdh180度の評価が最も低く,これまでの色彩調和論にある対比の調和領域は存在しなかった.また配色した2色のL*a*b*値を入力データとして調和度のディープラーニングの予測結果は,比較的良好な成績が得られた.