日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
赤色の癒し評価における効果と特徴
菊谷 敬子川端 康弘
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キーワード: 赤色, 単色, 癒し, 色彩感情
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 158-

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抄録

 色彩の感情効果を研究することは古くから行われている.本研究では癒される単色の主観的な効果とその特徴を調査・検討することを目的とした.本実験では,色彩やデザインを仕事して扱った経験がある人(n = 10)を対象に,赤色の癒し効果における色彩エキスパートの評価とその特徴を検討した.刺激にはPCCS Harmonic Cardの5色(赤・黄色・緑・青・紫)×11トーン(s以外)の計55色を用い,30項目からなる癒し評価スケールで単色の評価を行った.その結果,赤色のb・lt・p・sf・d・ltgで癒されたと見なされ,高明度の各彩度,中明度で中彩度,中明度で低彩度が癒されるという傾向が見られた.明度と彩度の観点から比較をすると,高明度,高彩度,中彩度の赤色で癒されたと見なされ,彩度の要素の方が明度の要素よりも癒される範囲が多かったと考えられる.赤色の癒し効果においては,明度と同じように彩度も重要な要素であることが示唆された.また,この結果は,日頃から色彩やデザイン等に対する感受性の鋭い色彩のエキスパートによって,単調である単色が適切に評価されたと考えられるので,その色そのものの癒し効果が検出された可能性が高いと推察される.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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