日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
文字認識レベルによる色字共感覚者の励起色の違いについて
鈴木 柊磨北口 紗織
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 167-

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抄録

 色字共感覚とは,文字を認識した際に固有の色感覚が誘発される現象のことで,色字共感覚者はその文字認識段階によって高次と低次に二分される.これまでに,文字の意味情報や形態情報が共感覚色に影響を与えることが知られている.本研究では,意味を知らない文字では共感覚色にどのような影響を与えるかを検証した.実験では,アルファベットを日本語に見えるようにレタリングされたElectroharmonixという字体を共感覚者の被験者3名に提示し,励起された共感覚色を調べた.Electroharmonixの意味を知る前後での共感覚色に加え,Electroharmonixに形状の類似した日本語文字とアルファベットから励起される共感覚色の4種の色味について比較を行ったところ, 高次と低次の両被験者で意味情報の付与によって共感覚色が変わる文字がいくつか見られるという点と,被験者が高次か低次かによって共感覚色の傾向が異なる文字がいくつか見られるという点の2つの結果が得られた.これより,意味の学習によって共感覚色の無励起状態から励起を呼び起こすことができるという可能性が示唆され, 意味の学習によって低次と高次では共感覚色の傾向に違いがあることが示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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