2020 年 44 巻 3+ 号 p. 170-
私達は物体表面を様々な言葉で表現でき,言葉はものの評価と密接なつながりがある.その言葉の一つに「ぷるぷる」という言葉がある.「ぷるぷる」は2018年に広辞苑第七版ではじめて掲載され,細かく震えるさま,触っても崩れず弾力をもって揺れ動くほど柔らかいさまと定義された.しかし,白磁のように物理的に硬い,また揺れない物体に対しても「ぷるぷる」の印象を持つことがある.そこで,本研究では「ぷるぷる」と表現される印象とは何かを,言葉と色による評価から明らかにすることを目的とした.実験では二つの照明条件を設定し,被験者は22個の白磁刺激を観察した.評価は,26組の言葉対に対する7段階SD法による評価と,基本11色名から色名を一つ回答する色評価を行った.結果から,「ぷるぷる」と「ゆれる」が最も相関が高く,「濡れ感がある」,「やわらかい」,「潤った」とも相関が高かった. また,色評価の結果において11色の色名が使用され,特に青色の判定と「ぷるぷる」の評価に関連性が見られた.物理的に表面がゆれない硬い物体に対してもゆれるややわらかいといいう印象を持ち,「ぷるぷる」という表現につながっていることが明らかになった.