2020 年 44 巻 3+ 号 p. 19-
近年,様々な分光分布を持つ光源が普及していく中で,その光源特性に応じた色の見えの変化を評価することは重要である.特に,薄明視における領域では,色の見えの変化が複雑であることが知られている.そこで本研究では,明所視から薄明視に相当する照度レベルにおける色の見えを,異なる分光分布を持つ4種類の光源を用いて比較,評価を行い,光源の分光分布が色の見えの変化に与える影響を検討する.実験は光源とその照度レベルを変化させながら色票の色の見えを回答する被験者実験を行った.被験者の色の見えの回答方法は,カテゴリカル比率評価法を採用した.いずれの光源も照度レベルの低下に伴い,高照度レベルでは緑色と知覚されていた領域に青色と知覚される領域が拡大し,同じように,高照度レベルでは赤色と知覚されていた領域に黄色と知覚される領域が拡大するという変化が見られた.本研究では,これらの色の見えを予測するために反対色応答関数を用いた色認識特性のモデル化を試みた.結果として,反対色応答関数のピーク値を調整する係数と波長方向のシフト量を照度レベルに応じて適切に変化させることで実験結果を良好に再現することを明らかにした.