絵画鑑賞において,これまで感覚的に扱われてきた「美しさ」や,平面であるはずの画面に感じる絵画空間の性質について,画像分析により捉える試みは少ない.本論文では絵画の色彩を扱う中で西洋絵画の歴史の中で扱われて来たヴァルール(色価,仏:valeur)という造形概念を数理的に解釈することで絵画のような複雑なイメージが与える印象をピクセル単位で定量化し画面内の任意の構成要素に対しての図と地の数理的判別方法を提案する.具体的には画像内の任意の領域の画面全体に対する面積比より領有ヴァルール比が大きい場合に図,小さい場合は地として判断されると仮定するものである.これにより構成要素の比較などの画面構造の分析を数理的に行うことが可能となった.