2020 年 44 巻 3+ 号 p. 223-
化粧された肌は照明光色により見え方や印象が異なるため,その場に適した照明光色が求められる.また,照明光色だけでなくリップやチークなどのポイントメイクの色によっても肌の見えは異なる.そこで本研究では,リップカラーが異なる場合に着目し,照明条件の違いが化粧肌の見えの好ましさに与える影響を明らかにすることを目的とした主観評価実験を実施した.実験では,高彩度の赤,中彩度の赤,低彩度のオレンジ,中彩度のオレンジ,低彩度のピンク,高彩度のピンクの6種のリップカラーを塗った20代女性の顔を対象とし,12種の照明条件を照射した場合の自然さ,品性,活気,及び好ましさの4項目について数値尺度で評価させた.その結果,評価値に照明条件とリップカラーの交互作用がみられ,低彩度のリップカラーが色温度の低い2840~2860Kの照明条件で,好ましさがやや増すことが示された.また,いずれの照明光色でも,高彩度,及び中彩度のリップカラーは低彩度のリップカラーより好ましく見える傾向にあった.以上の結果から,照明条件及び,リップカラーの両者が化粧肌の見えの好ましさに影響することが明らかとなった.